(捧げ夢)


「何このカオス」
「名前先輩も見てないで手伝ってくださいよ!!」
「…わかった」

部室に入ると泣いている神童、そして気不味そうにしている剣城。なんてカオスな光景だろうか。しかし剣城が神童に何か不味いことをしたのだろう。そして手伝えとは神童を慰める、あるいは剣城から何をしたのか聞き出せということだろう。
それなら私は迷わず剣城を選ぶよ(だって神童は面倒だもん)。

「さて京ちゃーん?洗いざらい話してもらおうかー」
「………。」

あれ、京ちゃん呼びしても怒らない。え、そんなに?動揺しちゃう程いけないことしちゃったの!?きゃーっ、ついに京ちゃんが大人の階段をのぼっ(強制終了)。と、とにかく、これはなんとしてでも聞き出さないと!というか聞きたい!

「き、京ちゃん、いくらなんでもね、部室ではいけないと思うの」
「(バレてる…!)」
「だって、その…神童が可哀想でしょ?(性的な意味で)」
「キャプテンが先に言い出したんですけど(名前先輩が好きだって)」
「え!?神童が煽ったの!?(性的な意味で)」
「?…はい」

さ、誘い受けだとおおお!?くそ!私の積み重ねてきた(妄想してきた)、神童像が!どんどん崩れていくだとおおお!?
剣城を半ば尊敬の眼差しで見ていると、後ろから誰かに頭を叩かれた。何だよ誰だよこんないい時に!

「わ、南沢!」
「何してんだよお前」
「何って、剣城の取り調べだけど」
「はあ?」

む、なんだその気の抜けた声は!すごいんだぞ!神童と剣城が×××で××で×××なんだから!
私がさっきの報告をしようとすると、南沢は剣城を置き去りにして私の手を引いた。ちょ、まだ取り調べは終わってないんだけど!これから詳しいところまで迫っていくんだからね!?わかってるのか南沢あああ!!

「ちょ、南沢痛いってば!」
「あ、悪い」
「悪いで済んだら警察はいらん!」

というか、南沢のせいで剣城のネタ聞き忘れた!もうやだ南沢、空気読んでよ…。
一気にしょげていると、めんどくさそうな顔をした南沢がめんどくさそうに謝ってきた。何こいつ、イラッとくるんだけど!

「そういえばさ、用事あるんじゃなかったの?」
「さっき終わった。というか三国が代わってくれた」
「三国に押し付けるなよ」

良い奴だからってこき使いやがって!三国も三国だよこのお人良し!そして天使!
南沢にぐちぐちとお説教をしているとまた部室の方から騒ぎ声が聞こえてきた。あっちも解決してないのに、剣城置きっぱなしにしてきちゃったよ私の馬鹿!!それもこれも南沢のせいだ。
「神童泣いてるから慰めてきてよ」「俺が言っても逆効果だと思うけど」「なんで?」南沢って神童に嫌われてたの?…そんなことあったら今までサッカー部続いてないよね…。探りを入れるも南沢は一向に答えようとしない。あーもう面倒。

「どうでもいいけど、ケンカはしないでね」
「どこ行くんだよ」
「神童構ってあげなきゃ」

ちょっと励ましてあげれば立ち直るでしょ(すぐに泣く子は単純なんだって)。南沢に背を向けて歩き出すと、「待て」という静止の声が響いた。思わず条件反射で立ち止まってしまったけど、南沢なんか相手にしなくていいんだよなぁ…。
しかしまた無視すると面倒なので仕方なく振り向いた。この忙しい時になんだっていうんだ。

「神童なんか構うな。いつまでも甘やかしてるからあんなんなんだよ」
「後輩なんだからいいじゃない。それに三国も甘やかしてる」
「お前がやってるとイライラすんだよ」
「…南沢、それ嫉妬してるみたいよ?」

変なの。そう言うと南沢は顔を真っ赤に染めた。え、図星なの?じゃあ昔私のこと虐めてきたのも、いつも仕事妨害するのも、今呼び止めたのもヤキモチ?
そう聞けば、南沢は観念したように頷いた。なんだ、こいつもちょっと可愛いな。


素直じゃない罰ゲーム
(私の気持ち、暫く教えてあーげない)

―――

イブキ様リクの南沢でした!お待たせして本当にすみません。嫉妬になっているかは不明ですが、久々の南沢夢楽しかったです。
リクエストありがとうございました。



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