2012.08.04 


ぢゅ、ぢ、じゅる。

えげつない音を立てながらぼくの口のなかで舌を抜き差しするノボリは、きっとセックスをしているつもりなのだろう。そうされて嬉しかったからぼくもそれに応えた。今日はね、ゴム、玄関に忘れたからできないの。ノボリはゴムがないとしたくないって言う。それでもしたいって吸ってたタバコの先端をノボリの喉仏に押し付けようとしたら「我が儘」って呟いてキスしてくれた。きもちいい。でもごめんね。タバコの灰、だいじな書類の上に落ちちゃった。そんなことを考えている間にノボリの舌は上顎をつつき始めた。ふふふ。こんなに勃っちゃったっていいたいの。やらしいノボリ!舌を尖らせて何度も上顎に擦り付けて、ねえずるい。勃起してもセックスしてくれないくせに、ずるい。ずるいね、ぞくぞくする。すき。だけど、ぼくがそうならノボリもそう。だってそうでしょう。そうやって自分を追い詰めるのがだいすきなんでしょう。

「あは。ヨダレべたべた。イくマネへたくそ」

「わたくしの舌が口内の奥を突いたとき、気持ち良さそうに嘔吐く貴方はたいへん卑猥だった。ねえ、分かります?」

「ノボリ。勃起したでしょ」

「ああ、本当に貴方は!」

「あのね、ぼくも同じ。でもね」

ゴムがないからだめ。


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