2012.04.07
望酒
おまえはおまえになったのだよ。耳に入る音の一つ一つがあまりにも鮮やかで、ただの言葉なのにまるで歌でも聴いているような気さえした。男の言葉はそれ程に美しく、心地好い物だった。やっと見付けた「私」。
「礼を言わねばならぬな」
「筋合いは無い。が、それがお前の意思ならば聞こう」
「ありがとう」
クク、といつもの様に喉を鳴らして笑う男の瞳はいつもの様に鋭く、いつもの様に私を見ていた。
「まるで親だな」
「ははははは!」
美しい太公望は歌うように言う。それもまた一興と。
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