爽やかな藍色に体を浸すのは容易いことなのだ。
「太陽が沈んだらさようなら。」
そう言った彼女は、午後一時の光に目を細めた。
「…なあ」
「なに、銀ちゃん」
「今日は暑いだろう」
「ええ」
それがどうかしたの?そんな風に首を傾げる。
ソファーに身を任せ、その暖かい光に目をやる。彼女ももう何も聞く気がないのか、目を俺から光の差し込む窓へと移した。
「ねえ」
「うん?」
「私たち今日で終わっちゃうのよ」
「ああ」
「悲しい?」
「悲しいかな」
「そう」
「お前は?」
「悲しいよ。とっても」
目をまた彼女に向ける。
光に目を細め、か細い喉はうんと伸びている。
悲しい、なんて嘘だろう。そうとも言えずにまた窓を見た。
「日が沈んだら、さようなら。」