蕩けるような温度で交じる。肌が触れるたび命が濡れる。 「△さん、すきだ」 その眦に涙が溜まる。 「どうしたらあんたのこと全部俺のものにできますか」 火照った頬で微笑む。この人の魂が欲しい。 「恵」 「俺、あんたのことになると、色々分からなくなるんです」 許しが欲しい。与えられたい。 「恵、君に全部あげるよ」 「言葉だけじゃ足りないです」 「どうして欲しいの」 言ってごらん、と両頬を包まれると、花の香りがした。 「△さんから、キスしてください」 いいよ、と小さな唇が言う。この人は唇の皮がすごく薄くて、色は桃みたいな色してる。 「△さん」 誰かのことをこんなに好きになって、もうだめかもしれないなんて、そんなことぜんぜん思ってもみなかった。 自分がぐずぐずになっていつかだめになってしまうんじゃないかと怖くなるくらい、この人がほしい。 「あんたと一緒にいると、ほんと、頭が溶けてなくなっちまうかと思う…」 もうだめだ。 すきだ。 もうほんとうにだめだ。 唇の続きは行方知れず |