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 好きすぎて、抱いたらきっと地獄に落ちる。

「君が好きだ」

 呪霊が不味いのは罰なんだと思った。罪になるほど好きだった。

「そういうわりに何もしてこないね」

 そっと抱きしめるだけで、それ以上何もしなかった。何もできなかったというのが正しい。怖かった。

「私はいつか地獄に落ちる気がするんだ」

 馬鹿みたいだと思っていた。でも、少しでも女の身体を知れば、理性がすべてあやふやになって、身体を重ねてしまうような気がした。
 綺麗なものは汚したくない。歯止めがきかないと分かっているなら、はじめから触れないほうがいい。

「馬鹿な夏油くん」
「そう、馬鹿だよ」
「一緒に地獄に落ちてあげるって、何度も言ってるのに」
「それじゃあ駄目だろ」

 触りたい。触れない。怖い。女を汚すのが怖いのか、自分が地獄に落ちるのが怖いのか。よく分からない。

「ほんとにアホな夏油くん…どうせ私もはじめから地獄行きなのに」
「どうして?」
「だって私、バチが当たりそうなくらい夏油くんのこと好きだもん」

 一瞬遅れて、横顔を見ると、真っ白な歯で笑っていた。

「仲良く地獄に行こうよ、夏油くん」


傷つけずに抱くなんて不可能だ
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