juju | ナノ





 雨がしとどに降る。月冴ゆる夜に柔肌を食む。

「夏油くん、おいで」

 湿った肌を引き摺って、部屋の奥で女の唇を噛んだ。

「△…君が欲しい…」

 狂ったように、何度も名を呼ぶ。温度が絡まるたびに脳が蜜のように甘く焦げて、そして手つきが荒くなる。

「△、△…好きだ…君が…」

 自分の真下で女が笑う。こんなに綺麗なら、最初会った時に教えて欲しかった。

「ああ、だめだ、我慢がきかない」
「いいよ、夏油くん」
「君に優しくしたいのに」

 いいよ、と女が笑う。雨の匂いに混じって、汗が肌の上で香る。
 この艶姿。汗の流れた跡をそっとなぞると、音もなく歓喜のように鳴いた。

「こんなに綺麗な君を、こんなにめちゃくちゃにして…いつかバチが当たりそうだ」
「んふふ、なにそれ」

 馬鹿みたい、と女が呆れた。


水魚の交わり
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