露が降り、朝が光る。 「悟」 己を呼ぶ。その唇にも朝露が宿る。 「悟」 瞼の裏に姿が透ける。瞳が青く燃え、草花のように芽吹く。 「△…」 「随分と寝ていたね」 欠伸をして、目元を擦ると、ぐずぐずに濡れていた。 「嫌な夢でも見たの?」 花も水もなかった。音もしない。恐ろしいほど静かで、黒く揺れる影の中に、無数の骸が転がっていた。 「うん…」 「怖かった?」 「いや、」 寂しかった。そう言うと、抱き締められた。 「悟」 「お前がいなくて寂しかった」 「うん」 目を閉じると、体の熱がよく分かる。朝霧は未だ音も立てず眠る。 その温度の中で抱き締め合う。 花の底で息を止める |