ひとの心は白くて薄い布みたいだって、ずっと前から思ってる。 汚れては洗い、だが染みは残り。ほつれては繕い、だが縫った跡は残り。 汚れを濯いだあとの水は下水道に流し、余った糸は始末して燃やすごみに捨てる。 「変わった考え方だね」 夏油くんは窓辺で聞きながら笑っていた。 「やっぱり変かな」 「いや、君らしくていいと思うよ」 夏油くんは薄い布。白くて柔らかくて、絹でできている。 そしていつも破れている。そしていつも黒く汚れている。 「△が布だったら、そうだな、白くて柔らかい、絹でてきている布かな」 「え」 「だって、君はいつも破れやすくて、汚れやすいから」 そのときの夏油くんの目。もしも私が死ぬときは、それだけ持って、天国に行きたいと思った。 「…ねえ、△、私たち、ずっと離れ離れにならないように、縫い合わせてしまいたいね」 私も、そう思う…そう言ったら、夏油くんは、私の髪にキスして、そして私を抱き締めて眠った。 きっと天国に繋がっている |