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 晴れた日曜日に会いに行くと、女が机に突っ伏していた。

「なんだ、夏油くんか」

 少し顔を上げて微笑む。処方箋と一緒に薬が散らばっている。
 何錠飲み干したのか。視線があちこち彷徨っている。

「…△、君」
「すまないね夏油くん」
「いや、私が勝手に心配して来たんだ」

 来てよかったと、傑は思った。
 買ってきたシュークリームを机の上に置く。グラスの水を飲み干して、女は目の下を何度か擦った。

「眠れていないのかい」
「まあ…そんなとこ」
「シュークリーム、買ってきたんだけど」
「ありがとう、大好物だ」
「…冷蔵庫にしまっておくよ、あとで一緒に食べよう」

 うん、とぼんやり返事をして、女はまた目の下を擦った。
 その手をそっと掴んで、傑は女の髪を梳いた。この女は髪がいいのだと、傑はよく知っている。

「擦っちゃだめだよ」
「眠いのに、眠れないんだ…」
「今日は私が一緒に居るから」

 ね、と頬を両手で包んでこちらを向かせる。前に見たときより隈が濃い気がする。

「△、一緒に寝よう」
「うん…ねえ夏油くん」
「なんだい?」
「私と一緒にずっと眠っててくれる?」

 ずっと、一緒に、永遠に。
 目を擦っている指先が、とても細かった。

「…ずっと眠っていたら、シュークリーム、食べられないだろう」

 ね、だからちゃんと起きようよ。


青痣
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