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 あなたを想えば想うほど、遠く離れてゆくのは何故だろうか。

「△」

 私ごときに分かるものか。あのお方の御心などとても。

「面をあげよ」

 聞き慣れたその声色。私を見詰める緋色の双眸に、私は一体どう映るか。
 卑しいだろうか。興味を惹かれるだろうか。肉を裂くのを想像するだろうか。それとも、

「△、俺の近くに寄れ」
「はい…」

 傍に寄り、膝をつき、白く滑らかで上等な布地に頬を擦り付けると、満足そうに王は笑んだ。

「そうだ、お前はそれでよい」

 俺の美しい△…髪を梳くその指先は、鋭くてとても優しい。


愛は咀嚼
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