ずっと独りぼっちだった。子供の頃、寂しかったけど、我慢していた。誰も俺のことなんか好きじゃない。誰も俺のことなんか分かってくれない。ぼかぼか殴られて、痛かった。みんなに嫌われているような気がして辛かった。朝から晩までずっと孤独で、息をするのも苦しかった。 「△」 だからあの女に出会ったときに、ほんとうに人生で初めて生きていてよかったと思った。優しくされて、嬉しくて、それだけの為に死んでもいいと思った。 「こっち向け」 愛されたい。正しくなくていい。ぜったいに痛くしない。優しくする。 「なあ」 みんなに嫌われているんだって、ほんとうは分かっていた。生まれたときからどうせ大事になんかされてない。寂しくて辛いのか、何に怒っているのかよくわからない。 「おいで、甚爾」 抱きしめてもらうことが多かった。そうすると何も考えなくてよくなった。同時に、この女のものになれた気がしてうれしかった。ずっと、誰かのものになりたかった。 「△」 別に間違っていていい。独り占めできるなら、なんでもいい。この女が俺を大事にしてくれるなら、俺は何でもするし、何でもできる。 「もういっかい」 俺の名前呼んでくれ。 地球のなかまに入れてくれ |