熟語御題シリーズ | ナノ




眠れない夜に自分の髪の毛の端を引っ張ると月光に透けてぼんやりとした気分になってそういえば随分と髪が伸びたな自分はまだ生きているのだと実感して自分は生きていてもいいのかどうなのかプツリとつまんでいた髪を抜いて畳の上に投げ捨てる「眠れないのですか」天井裏からくのいちが問い掛けるのに「いやあ、考えちまってな」と呟くとわたくしめでよければ今夜はずうっと横におりますればと黒い装束の中から覗く瞳は濡れたように海のように「俺あ、お前のことしかほんとうは大事になんか思っちゃいないんだ」ひどいんだ俺は、それでいいんですよ、眠れない夜に泣く鬼をあやす女の指の白いことたるや。

夜聡/yozato
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