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どさ、と音がして天井が見えた。目の前には三成のかお。切羽つまったような、潤んだ目で、見つめられる。顔が火照っている。

「三成、どうしたの」

どうしたの、と訊くのに、ぱくぱくと口を動かすだけで何も言わない。というより、言えないように見える。顔がさらに赤くなる。

「その、だな、あの、うっ、えと」

いまにも泣きだしそうな顔で閉口している。この男は、まったくこういうことに免疫がない。

「ね、もう、いわなくていいか」
「いや、いう、いうぞ」

いうぞ、と威勢はいいものの、涙ぐんだ瞳で子犬のように見つめられては迫力がない。私を押し倒している腕は、ぷるぷると震えていた。

「いうなら、はやく」
「わかっている、だが」

ええっと、うんと、その。あーとかうーとか繰り返しながら一向に決め台詞を吐いてくれない。自分はいったい何時までこうしていればいいのか。

「……もー…ほら」

ぐい、と三成の後頭部を引き寄せてくちびるを押し当てる。途端、ぼふっという音が聞こえそうなくらい真っ赤になった三成の顔をみて、当分私たちにはこういうことは無理なんだろうなあとぼんやり思った。




とんとん拍子に置いてけぼり
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