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忍の自分に、縋るものはないと思っていた。ただ冷える。心の奥から凍りついて、急所だけをただ一心に見つめて生きている。隙、目の動き、唇、自分でも知らぬうちに目で追っている。忍の匂いが付く。首許をかっ裂いてしまいたかった。

「さすけ」

小さな頃から、いやというほど教えられていた。怒れ、と幼い自分に命じて、忍の腕に噛みつくと、罰を与えられた。それで、少しずつ皮膚は引きつって、一人前になる頃には、ほんとうにみっともなかった。きたない、と、あの時思った。

「▽」

愛してほしかったのは、きっと忍として拾われてからずっとだった。縋りたい。どうしても、だれでも構わない。白い肌に歯を立てて、思い切り噛んでみたい。嫌われたくはない。抱き着きたい。涙をながして、そうして、さいごには、救われたかった。

「だから、きっと、俺様は、▽がすきだ」




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