text | ナノ





女が一人死んだ。そう知って、どうしようもなくなって、涙がでた。主の次に、好きな女が一人死んだ。珍しく油断をして、病のくせに外へ出て、風邪を引いた。すぐに女の風邪は悪化して、よく吐くようになった。そうして死んだ。たかが風邪をこじらせて、死んでいった。女はひどくやつれて、みっともなかった。それで余計に、涙がでた。

「▽、貴様が死んで、もう五箇月だ」

時が経つのは早かった。女は火葬にして、望み通り骨は土に埋めて、その上に花を植えた。もうすぐ八月が終わる。汗も乾く。直に戦も来る。数多の魂を吸い尽くして、きっと女の花に捧げる。

「▽、次の戦で私は死ぬ、約束だ」

女と約束していた。必ず守るつもりでいた。次の戦でそれは果たされる。きっと自分は死ぬ。死んでみせるつもりだった。

「▽、貴様との最後の約束だ、待っているがいい」

主の為でも御国の為でもなく、女のために死ぬ。自分は最後まで忠誠を誓えなかった。跪くことも許しを請うこともできない。それでもきっと自分は死ぬ。女との最後の約束を守る。




アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラブ・ユー
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -