text | ナノ





長い睫毛をつけた目を瞬かせて、星を見ていた。

「きれーだね」

窓辺に腕を組んで、寒いのか毛布をぐるぐるに巻いている。端からはみ出た唇を珍しく動かして、彼女は星に見惚れている。

「そうだな」

自分も彼女に寄ると、確かに少し冷えた。

「ね、きれーだよね」
「お前、星が好きだったか」
「え、うん、まあ」

んーと彼女は首を傾げて毛布を巻きなおす。別段好きではないらしい。

「なんだ、そうでもないのか」
「幸村はどうなの」
「俺もそうでもない」
「ああ、そうだと思った」

自分が答えると、もう飽きたのか、彼女は爪を弄り出す。彼女の爪は小さく短い。自分のは薄くてみっともない。ささくれに囲まれた平たい爪で、髪の端を引っ張ると、仕返しとばかりに長い方の髪を引かれる。

「あ」

白い指の先から、ぱらぱらと髪の落ちる間で、彼女は嬉しそうだった。





氷るきみ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -