元就はどうも、酒を飲み始めると止まらない。浴びるように飲んで、床に倒れる。退屈なのに飽きると、髪を引っ張られたり、首筋を捕まえられたり、くちづけをされたり、めちゃめちゃになる。本人に止める気は毛頭ない。 「▽、われは飲みすぎた」 「そうだね、羽織着なよ、冷えるよ」 ばさりと乱暴に羽織を掛けてやる。う、と小さく唸って丸くなった。 「あたま、いたい」 茶色の髪を床に押し当てて、目蓋をぎゅうと瞑る。 「だろうね、水飲むかい」 元就が答える前に水を注ぐ。唇に押しつけると、前髪で顔を隠した。 「……▽の口移し以外飲まぬ」 そんなことを、呂律の回らない口で言って、羽織を投げ捨てた。薄いからだが被さってくる。短い爪が髪の隙間を撫でで、床に押しつけると、首筋を噛まれた。いたい、と言う暇もなく、眠そうに目蓋がおちてくる。外が白んできた。 ひとえ |