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「昨日、夢を見たよ」

嬉しそうに半兵衛が言った。夕日が白髪の間をすり抜けて、影になる。夢のなかで、自分は死んでいたのだという。やすらかだった、ともう一度半兵衛が嬉しそうに言った。

「僕はね、死んでいたんだよ、夢で」
「なんで、しんだの」
「さあ、でも、やすらかだったよ」

穏やかに、白い顔を横たえて、死んでいたのだそうだ。相変わらず半兵衛は笑っている。

「確か、▽の夢は画家だったね」
「そうだね」
「なら、丁度いいよ、▽」

半兵衛が目を伏せる。目蓋の縁に影が流れる。きれい、と小さく思っていた。

「いつか、そう、いつかね、僕が死んだら、絵を描いてくれないかい」

いつかね、ともう一度言って、半兵衛は私の手を握った。いつかね、と私も言った。





そう遠くはないよ
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