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流れる水の上に身を横たえて、忍びは眠っている。ぼたりと椿が落ちる。散らない。椿は一人で死にはしない。いつも誰かと抱き合いながら、緩く水の上に眠る。忍びの業。息をするように血を浴びて、目蓋をおろすことも許されない。

「▽、あと、何日なの」
「たぶん、あと二日」
「そっか、俺様たち、死ぬのか」

うん、と忍びがうなづく。そうか自分は死ぬのだな、と思った。椿のように抱き合いながら、水の中に沈めるのだ。漸く、目蓋をとじるときが来た。

「▽、あっちはさ、やっぱあったかいかな」
「そうだね、極楽だからね」
「地獄、落ちなきゃいいなあ、痛いのやだもんな」
「そうだね、きっと、極楽だよ」

頑張ったもの、報われていいよ、と忍びが言う。そうだな、と思った。そろそろ、笑ってもいいんじゃないかと、微かに思った刹那、茎から緩やかに椿が落ちた。




椿のようなゆめをみる
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