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「すべて、私自身が刻んだのだ」

真白い、長い腕がすらりと自分に伸びてくる。短い爪が頬を撫ぜて止まる。内側の柔らかな皮膚には割れたような傷が伸びて、痣が滲んで、血が流れ出る。三成の薄い唇が鼓膜をふるわせる。

「いままで、黙っていた、すべては望んでの行為だ、後悔はない、嘘は言わん、私は、死にたい、わけではない、できるならば、生きてゆきたい」

嘘ではない、と三成は続けた。白く伸びた切り傷に指を這わせる。▽、と呼ばれる。こんな真白い皮膚の下からでさえ、赤い血は絶えることなく流れる。塞き止める横木は、私だ。

「▽、こんな方法でしか助けを求められない私を、軽蔑するか」
「……三成」

確かに血の通った手首を掴んで、呼ぶ。薄い肢体に腕を回す。研がれた刃のように鋭い瞳がゆれて、そうして、流れるように、まぶたの下で眠った。




グッドナイト
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