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クラスで一人だった私に初めてにこりと笑ったのは家康だった。最初は同情しているものだと思っていた。彼はクラスの太陽だった。だから、自分は一人で平気なのだと彼に言った。すると、いや同情なんかじゃない。ただ話し掛けたかっただけなのだという。変な奴だと思った。それから毎日挨拶をしてくれるようになった。にこにことして、彼は相変わらずクラスの太陽だった。彼の周りから人のいなくなることはなかった。すごいな、とただ素直に尊敬して、そう彼に言ってみたら、そんな事はないのだと困ったように笑っていた。そのとき、彼の困ったような笑い方を初めて見た。皆にはしない顔でふふふと静かに可笑しそうに笑っているのを見て、あ、もしかするとこいつが一番独りなんじゃないかと思った。それで思わず口に出したら、一瞬目を見開いて、まぶたをしばたたいて、そうして、彼は静かに泣いた。そうか、こいつ甘えたかったのかと、私に話し掛けてくれたときの彼の顔を思い出していた。私にだけは十分に甘えてくれる家康が、私は大好きなのである。だけども、もう、無理をするのはやめて欲しい。




かれはうつくしいから
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