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500Hzの瓶が最果ての浜辺までころころと流れてくると、鳥みたいに綺麗な彼女が指先で砂をしとどに濡らしながらちゃぷりと拾い上げる。しばらくして彼女は瓶の蓋を取り、からりと、中身を取り出して、そうして、赤い舌でこくりと飲み干す。

「つめたい」

凍てつくような冷たい息で波を紡ぐ彼女と、ようやく私は、いまここで、ひとつに成り得た。

「行こうか」

空瓶の中に海水をありったけ詰め込むと、愛の香りのする蓋でもう一度綺麗に締め直して戦場まで持ち帰る。そうして血水の代わりに、海水で地面を濡らして馬を転ばせる。にやりと笑った彼女が瓶を投げ捨てる。

「勝ったね、三成」
「貴様の策だ、当然だろう」

あたふたとする雑兵を横目に、私たちは、足元の不安定な地面で接吻をする。




水葬の景色
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