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家康があんまり苦しそうにするから、休めといったのに、家康は休むどころかさらに戦を重ねてきた。三河の武士は辛抱強いのだという。それでもあんまり苦しそうにするから、いい加減に腹が立って、その黒い頭を引っ掴んで布団の奥に押し込めた。すると狸が不平そうにするから、馬鹿、とだけ言って抱き締めてやったら、遂にぽろりと泣き出してしまった。それで私は家康と布団に収まっているのである。

「ああ、もう、▽」
「うん、どうした家康」
「ワシは辛い、痛くてならん」
「うん、そうか、ほら」

両腕を背に回して抱いてやれば、痛くてならんとぼろぼろ泣くから、この躰にどれほどのものを背負って生きているのか疑問に思った。

「▽、頼む、少しで構わん」
「うん、うん」
「ワシを甘やかしてくれ」
「うん、わかった、甘えな」
「頼む、すぐにちゃんとする」
「うん、わかってるよ、家康」

苦しくってならんと嗚咽混じりに咳き込むから、ぎゅうぎゅうに抱きしめてやって頭を撫ぜた。頼む、頼む、と家康が懇願する。それで私は苦しくなるくらいに家康を抱きしめてやった。

「うん、強いよ、家康は」
「痛い、辛くて堪らん」
「うん、大丈夫、強いよ、すごく」

そうしたら更にぼろぼろと泣いてしまって、これは夜には目が赤くなるなと小さく思った。




御眠りよ
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