レイくんの消失 レイ×ユウ …駄目。 こんなことを考えてしまってはいけない。それはよく分かっているけど。 この気持ちを抑えることはいくら霊(たましい)になっても無理だった。 ひとりの霊は毎日のように思い悩みながら、夜の街のはずれへ逃げるように向かう。 たった一人、姉を想いながら。 双子の姉はいつも明るい。霊だというのに。 朝になれば「おっはよー☆」とばかりに僕の布団に突っ込んできたり。昼になれば人を驚かせたり勝負をしたり。夜になればその底抜けの笑顔で一緒に出かけようと言う。 僕は、そんな彼女に惚れてしまった。 その底抜けの笑顔に。彼女の突き抜けるような明るさに。 …彼女は姉だというのに。 彼女はいつも、自分を置いてどこかへ行ってしまう。 まるで、自分なんてどうでもいいかのように 。 しかしそれと反比例するように、日が経つに連れ想いは増大していく。 勿論、誰にも言い出すことは出来なかった。 だからいつも、僕は逃げていた。こんなんだから、内向きな性格も治らない。 夜の街をひたすら歩いていたら、町外れの公園についた。 夜の公園からは、きれいな星空が見える。 それをぼーっと見ていたら、やっぱり、彼女の明るい笑顔が浮かんできた。 …帰らないと。 時計は草木も眠る丑三つ時を指していた。 僕は相変わらずうつろな目で歩いていた。 『じゃんじゃかじゃーん☆』 ふいに、こんな夜に不釣合な、しかし、聞きなれた声がした。 「…ユウちゃん?」 見慣れた、白頭巾の、彼女だった。 「レイくんみーっけ☆もう、毎晩居なくなっちゃうんだもん、ユウちゃん心配してたんだからね!」 「…ごめん」 彼女と夜にこうやって歩くのは数日ぶりだ。 「どしたの?ひとりででかけたりして。」 「…散歩だよ」 「こんな夜中じゃなくてもいいジャマイカ?なんっつって〜☆」 こんな雰囲気でも、彼女はひたすら明るい。 「ねー…なんで出かけたの?」 「…悩み事…」 僕はだんだん彼女の隣に居づらくなっていった。 時が経つに連れて、居づらさは増していった。 もう、僕は耐え切れなくなった。 「悩み事ならユウちゃんに言えば飛び切りの…「っ!」 「どっどうしたの?!レイくーん!」 もう僕は彼女の隣には居られない。永遠に。 そう思うか思わないかのうち、僕は走りだしていた。髪に隠れた目に、涙を浮かべながら。 ひたすら進み続けた僕は、疲れ果てて倒れてしまった。 次第に意識は薄れていく。 「ユウちゃん…ユウちゃんの弟なんかに生まれたくなかったよ、僕」 - - - - - - - - - - レイ→ユウで書きたいように書いたものです。結構昔だったような。 どうもこの二人だとシリアスになりやすい…。 |