novel4 | ナノ

レイくんの消失
レイ×ユウ

…駄目。
こんなことを考えてしまってはいけない。それはよく分かっているけど。
この気持ちを抑えることはいくら霊(たましい)になっても無理だった。
 
ひとりの霊は毎日のように思い悩みながら、夜の街のはずれへ逃げるように向かう。
たった一人、姉を想いながら。
 
双子の姉はいつも明るい。霊だというのに。
朝になれば「おっはよー☆」とばかりに僕の布団に突っ込んできたり。昼になれば人を驚かせたり勝負をしたり。夜になればその底抜けの笑顔で一緒に出かけようと言う。
 
僕は、そんな彼女に惚れてしまった。
その底抜けの笑顔に。彼女の突き抜けるような明るさに。
…彼女は姉だというのに。
 
彼女はいつも、自分を置いてどこかへ行ってしまう。
まるで、自分なんてどうでもいいかのように 。
しかしそれと反比例するように、日が経つに連れ想いは増大していく。
勿論、誰にも言い出すことは出来なかった。
だからいつも、僕は逃げていた。こんなんだから、内向きな性格も治らない。
 
夜の街をひたすら歩いていたら、町外れの公園についた。
夜の公園からは、きれいな星空が見える。
それをぼーっと見ていたら、やっぱり、彼女の明るい笑顔が浮かんできた。


…帰らないと。
時計は草木も眠る丑三つ時を指していた。
僕は相変わらずうつろな目で歩いていた。
 
『じゃんじゃかじゃーん☆』
 
ふいに、こんな夜に不釣合な、しかし、聞きなれた声がした。
 
「…ユウちゃん?」
見慣れた、白頭巾の、彼女だった。
「レイくんみーっけ☆もう、毎晩居なくなっちゃうんだもん、ユウちゃん心配してたんだからね!」
「…ごめん」
彼女と夜にこうやって歩くのは数日ぶりだ。
「どしたの?ひとりででかけたりして。」
「…散歩だよ」
「こんな夜中じゃなくてもいいジャマイカ?なんっつって〜☆」
こんな雰囲気でも、彼女はひたすら明るい。
 
「ねー…なんで出かけたの?」
「…悩み事…」
僕はだんだん彼女の隣に居づらくなっていった。
 
時が経つに連れて、居づらさは増していった。
 
もう、僕は耐え切れなくなった。
「悩み事ならユウちゃんに言えば飛び切りの…「っ!」
「どっどうしたの?!レイくーん!」
もう僕は彼女の隣には居られない。永遠に。
そう思うか思わないかのうち、僕は走りだしていた。髪に隠れた目に、涙を浮かべながら。

ひたすら進み続けた僕は、疲れ果てて倒れてしまった。
次第に意識は薄れていく。
「ユウちゃん…ユウちゃんの弟なんかに生まれたくなかったよ、僕」
- - - - - - - - - -
レイ→ユウで書きたいように書いたものです。結構昔だったような。
どうもこの二人だとシリアスになりやすい…。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -