30 | ナノ





「おっじゃましまーす!」

「あっちょオイ!」


大学生になって倉持が一人暮らしをしていたのは知ってたけど遊びに来たのはこれが初めてで見慣れない光景にテンションが上がる。


「ねえ!エロ本は?エロ本ないの!?」


ベッドの下やクローゼットを探すけど何も見つからない。健全な一人暮らしの男子大学生の家に少しぐらいいかがわしいものがあったっていいじゃない


「おまえなに探してんだよ」


呆れながら倉持はいれてきてくれたココアをテーブルの上に置く。わたしはそれをとってからソファーに座った。


「ねえねえ倉持」

「あ?」

「また遊びにきてもいい?」

「あったりめーだろ」


そういう倉持が嬉しくてにやにやした顔を隠すようにカップに口をつけた。



20131027

   

BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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