30 | ナノ





「おら、泣くな」


そう言って肉まんを差し出してくる彼はどこか困ったようだった。


「全部食べていいの?」

「あ?んなわけねーよ」


わたしに差し出してた肉まんを半分こにちぎって隣に座る。おいしそうに、だけどどこかやっつけな感じで頬張る倉持を見てわたしもひとくち。


「おいし」

「普通だろ」

「いや、久しぶりに食べたからさ」


涙の味で一口目はしょっぱかったけど食べ終えたときには気にならなくなっていた。人が泣いてるときに優しいことを出来る倉持はすごいなあ、わたしもそんな人になりたいななんて思いながら食べ終える。


「あれ、なんで泣いてたんだっけ」

「おまえがお気楽で俺は嬉しいわ」


むかついたから頭をはたくとタイキックされた。



20140102

   

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