30 | ナノ





本を読むのが好きなわたしにとって図書館で過ごす時間は生活する中でなにより好きな時間だった。


「なにしてんの」


小さい声で話しかけられて向かいを見ると同じクラスの倉持くん。あまり話したことはないのだけど。


「本、読んでる」

「本?」


表紙を見せると彼は頭にクエスチョンマークを浮かべる。


「どんな話?」


そう聞かれてぺらぺらと話していると面白そうだな、と笑う彼。


「もっと笑えばいいのによ」

「え?」

「笑顔似合ってるけどな」

「そうやって何人の女の子を落としたの?」


ふふふ、と笑うと眉間に皺が寄る。俺は御幸じゃねえからそんなことしねえよ、なんて。わかってるよ。


「今度借りたら?」

「おまえから話をききてーの」


そんなのずるい



20140102

   

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