赤、青、黄、白、黒。目の前に広がる色の数。混ぜて水を足してぐるぐるぐる。
「倉持くんは緑」
「緑?」
「でもオレンジもいいよね」
「全然違うじゃねーか」
「意味があるの、意味が」
彼女はそう言って白いキャンパスに次々と色を付けていく。俺には絵の才能は皆無だから少し羨ましいが、彼女は運動が出来る俺が羨ましいと言う。人間はないものねだりな生き物だ。
「オレンジもいいって言ったのはね、」
オレンジの色をキャンパスに塗りながら彼女は口を開く。
「倉持くんはわたしの太陽だから、明るく照らし続けてくれるからオレンジもいいなあ、って」
目線は合わせてくれないが照れているようだ。俺だって恥ずかしい。
「俺のオレンジはお前だばーか」
20131227
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