30 | ナノ





よーちゃんが来ないことなんてわかってる。東京の学校に行ってるんだもんね。そんな分かりきったことでさえ頭の中を駆け巡る。


「なーにアホ面してんだよ」


そう聞こえた声は聞き慣れた声で。目線を上げるといつもと変わらない彼がいた。


「なんで、」

「あ?明日はおまえの手術の日だろ」

「そう、だけど」


とっくに面会時間は過ぎてるけれど彼は会いに来てくれた、東京から。

あのね、生きれるかわかんないの、手術失敗するかもしんないの。

そう言ったとき彼はなにも言わなかったけどきっと電話の向こうで苦い顔をしてたんだろうな、なんてふと思い出す。


「ねえようちゃん」

「あ?」

「退院したらディズニーランドいこ!」

「どこでも連れてってやるよ」



20131112

   

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