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たまに見せる子供っぽい笑顔が好き。無邪気にくしゃっと顔を歪めて笑うところ。お金も何も持っていないけど野球が何よりも好きなところも好き。つまり全部が好きなのだとおもう。だけど雷蔵さんはやめとけと言う。こんな老いぼれなんか好きになっても何もねえよって。何もないなんて私が一番知ってる。例えば今日、今、私の目の前で雷市と雷蔵さんがご飯を食べている時とか。

「なまえ!おかわり!」
「はーい」

そういって雷市からお茶碗を受け取りキッチンへ向かう。さっきてんこ盛りにご飯をよそったのにまだ足りないのか、若いってすごい。雷市にお茶碗を差し出すと止まっていた手がまたも勢い良く動き出した。

「ありがとな」

玄関で雷蔵さんがそう言って、マフラーを巻いた雷市はただにかっと笑っていた。なまえのご飯美味しいから絶対いい母ちゃんになる!と雷市が言った。心の中で雷蔵さんの奥さんになりたいなんて思ったのは秘密のおはなし。





十万打おめでとうな貴女に捧げます。愛を込めて。
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