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131123 ドラコ(後)
*虹
貰った。婚姻届を。役所で貰うときドラコはずっと難しそうな顔をしていた。わたしは緊張してた。役所を出る。ふう、と溜息をしてドラコを見ると頭を撫でられた。
「緊張しすぎ」
「なんであんな余裕なのかがわたしにはわかんない」
「普通だろ」
「ほんとに初婚?」
「それ以上言ったら知らないからな」
まずわたしがドラコと結婚するほうが不思議なのだ。ホグワーツの六年間はグリフィンドールで過ごし、マグルだなんだなんて言われ続けたのだ。もっとも、言いっぱなしにされてたわけではないけど。ハリーや親友であるハーマイオニーなんかとドラコの悪口をよく言ってたのも今ではいい思い出だ。
役所を出ると行きに降っていた雨は止んでいた。さっと右手をドラコに掬い絡められる。ドラコのほうを見ると満足そうな顔をしていた。わたしも少しだけ嬉しくなる。
「変な顔」
「どうせドラコみたいな綺麗な顔じゃないですよーだ」
わざと口を尖らせればドラコは笑った。失礼なやつだ。ドラコはすごく綺麗な金髪で整った顔をしてて、性格部分を挙げなければ本当に素敵な人だと思う。でもそんなに完璧だったら他のわたしより綺麗な人に取られちゃうから嫌だ。ヘタレのドラコのままでいてほしい。ヘタレは嫌だけど。
急にドラコが立ち止まる。驚いてわたしも立ち止まった。右手が引っ張られる。唇と唇が触れる。そこから体温が分けられたかのように熱くなる。
「虹だ」
「あ、ほんとだ。綺麗」
「……なんでもない」
なにか言いたそうな顔してたくせに。右手の爪をドラコの手に引っ掛けて遊ぶ。なんだよばーか。言い始めたら言え、へたれ。そんなことを思いながらまた歩き始めた。帰ったら三時のおやつの時間ぐらいだろうなあ。今日のおやつは何を食べよう。そんなことを考えながら歩く。
「さっきの」
「んー?」
「虹よりおまえのほうが綺麗だって言いたかった」
途端ドラコの顔は真っ赤になって。見るな、と怒られる。それがどうしようもなく嬉しくて、恥ずかしくて。ありがとうと小さく聞こえない程度に呟くとほっぺに一つキスをされた。
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