mmm | ナノ
131101 リヴァイ
*うまくかけなかった
朝起きるとあるはずのない温もりがあった。どうやらわたしを抱きしめたままリヴァイは眠ったようで、おかげさまで身動きが取れない。出来るだけ起こさないようにリヴァイの腕の中から出る。綺麗な黒髪を撫でて立ち上がろうとしたらパッと右手を掴まれた。
「おはようリヴァイ」
「ああ」
寝起きのリヴァイはいつもより怖い顔をしているのはあまり他の人に知られたくないわたしのとっておきだ。でもそんな表情すら愛しい。
「朝ごはん、作るから」
「まだいいだろ」
好きなときにわたしのところへ来て気づいたら煙のようにいなくなっているのがリヴァイのいつもの行動パターンだった。わたしはそれについて文句は言わなかったし、彼もまたそれについて何も言わなかった。知り合ったのは近所の飲み屋で。カウンターで友達がトイレに行っている間に男性客に絡まれているところを助けてくれたのがファーストコンタクトだったと思う。それからは違うバーなどでまた偶然会って、気づいたら付き合っていた。彼の仕事については触れなかった。わたしが知ってるリヴァイはリヴァイで、仕事のリヴァイとはあまり結びつかなかったから。
「リヴァイ」
「あ?」
「今日デートできる?」
わたしたちはあまり何処かへ出かけることはなく、いつも家の中で過ごすことが多い。リヴァイは仕事の休みとしてこっちへ来てくれているのにあまり無理はさせたくないから。思い起こせばちゃんとしたデートなんてしたことがあったかなかったかぐらいのものだった。少し悩んだような表情を見せながらリヴァイは柔らかい表情で「朝飯、食うか」と微笑んだ。
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