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130923 坂田銀時

死にたいなんて言わねえの

死んだらどうなるかなあ、なんてポツリとあいつが呟いたもんだから少し怖くなってなにも言い出せないでいる。

でも今日俺がなにも言わなくてあいつが死んだらそれもそれで嫌なもんだ。仲間が死ぬっていうことがどれだけ辛かったか。尊敬してる人が死ぬのがどれだけ辛かったか。そんなもんきっとあいつにはなんにもわかんないんだろうけど、それを説く気にはどうしてもならなかった。俺は愛してるやつを失ったことはないからだ。あいつが好き。

いや考えてみると俺はこれでもあいつの彼氏である。でもなんで彼女のあいつがいきなりあんなことを言い出したのかはわからない。


「なに、死にたいの?」

「んー、たまに世の中全部が嫌になっちゃう」

「うん」

「ほんとに信じられるものなんて案外ないなあと思っちゃう」

「そうだな」

「でも自分の意見を言うのが下手でなにも自分から言い出せないから死にたいで片付けちゃう」

「あー」

「でも少しわたしが死んだらどうなるかな、なんて」

「でもよぉ」

「ん?」

「俺はおまえが死ぬのなんて見たくねぇから、もしお前がなにもかもが嫌ならいつまででもお前と二人でどこか遠いところで暮らせるようにしてやるよ」


そういうとくすりと笑ってあいつは静かに俺を抱きしめた。ちっせいの。でもねえ銀ちゃん。そうやって彼女はまた続ける。


「すべてが嫌ってことは銀ちゃんも嫌ってことかもしれないよ」


そうやってニヤニヤしながら俺に言うこいつは、子供がいたずらを成功させたときみたいな顔をしていた。ああすっげえ可愛い。こいつの言葉なんか無視して「食べていい?」と聞けば「また今度」なんてさらりと言うもんだから可愛さに根負けして唇だけいただくことにした。


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