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毎週決まってこの時間は山下とあの場所にいる。あいつの楽しそうな声は廊下の先まで聞こえ、私の耳にとても響く。こんなに気になるのは何故だ。

「気に食わない」

言葉にするとしたら、な


「うっそでしょ?!それ本当なの?」
「本当の本当でまじなんスよ」
「えええええええー!信じられない…」
「確かに、まさかあの敵キャラが味方になるなんて…意外すぎたって言うか何て言うか!」
「でもさ、そういうキャラって良い所で仲間を庇って死んじゃうよね…」
「でも泣けるんスよね」
「そうなんだよ…!あたし涙脆くて絶っ対!泣いちゃう!」
「あ!そう言えば来週もう一人謎の味方か敵かわからないキャラが出てくるみたいッスよ!」
「えええ?!来週こそは…っこの目でリアルタイムで見たいっ!」

「さっきから騒がしいぞ」
「玲二!」
「も、森次さん…」

声の先は頭の上の方から。見上げた先には玲二の姿。
眼鏡をかけ直したレンズの奥の冷たい瞳…見下ろされると少し怖い
玲二の雰囲気がいつもと違うように思えるのは不機嫌だからだろうか?

「玲二も見れば?スーパー機械ロボ☆キバイダー!すっごく面白いんだよー!でも私毎回録画ばっかりでリアルタイムで見れなくてさー…だからいつもサトルにどんな話だったか聞いて盛り上がってた所!」

誰もそんな事は聞いていない、聞かずとも話の内容を聞いていればわかる。それを一から説明したさち。
本人を目の前にすると更にこの感情を知りたくなる。私から声をかけたとは言え
この場にいることが気に食わない。

「…あまり長く話して遅れるなよ」

はーいと少し拗ねた返事が聞こえ、背を向けて歩き出す。少ししてまた二人の声が聞こえだした。このわからない感情が表に出ないか心配だった。

「玲二!」
「何だ」

さっきまで話していたかと思うと突然後ろから追い抜かれ、私の前に立ちふさがる。
順番があるかのようにさちが私に話しかける、それは決まってこの感情の時だけ。

「…何が言いたい」

楽しげに私を見つめる。顔に何か付いているか、と言おうとしたが考えてることが見通されているような気がしたせいか。口を開いたものの何も言わずに視線を逸らしてしまった。

「玲二さ、嫉妬したでしょ?」
「私が?」
「サトルに」
「……………」

嫉妬
今思えばその言葉を知っていながら自分自身に当てはめたくなかったのだろう。さちは私を見て笑っていた…だがそれが安心する、では可笑しいか ?

「黙ったってことはつまり…Yesってことだよね」
「だとしたら、どうする」
「いや、別にどうするってこともないけど…ただ玲二にも可愛いところがあるなーって」

表に出したくない、気づかれないようにしたとしてもお前は見通すだろう、私を。
でも、そっちの方が嬉しいのかもしれない

「お喋りな口だ」

肩を掴み引き寄せて触れるだけのキスをした
嬉しさと嫉妬した分を、このキスに込めて。


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