( 皆の架け橋に…! )
私が聞いたヨハンの最後の言葉。
手を伸ばしてもどんなに叫んでも
私の手も声も、ヨハンには届かなかった。
異世界から元の世界に戻ってきた時、一番に頭に浮かんだのはヨハンと最後に目が合って、にかっと笑った顔。
元の世界に戻ってきたと言う感じも喜びも何もなかった
いつも横にいてくれたはずのヨハンがいないから。
異世界から元の世界に戻ってこれたのはヨハン以外の生徒や先生達
もしかしたら…なんて、どれだけ探してもあの目立つ髪色のヨハンは見つからなかった
わかってるつもりでもまだ「もしかしたら」という思いがある。
皆一緒じゃなきゃなんの意味もないのに…彼は…ヨハンは…
「何が『皆の架け橋に』なの…?」
視界がぼやける
ずっと我慢していた、目から生暖かい雫が頬を伝う
零れ落ちた涙は地面にじんわりと滲む。
手で拭っても拭っても出てくる涙
誰にも気づかれないようにと声を押し殺した。
ふと空を見上げると、ぼやけた視界に映る沢山の星
異世界では星なんて見えなかった。
いつも見れていたものが見えなかっただけで、こんなに綺麗に見えるなんて
「あっ」
沢山の星の中に流れ消えていった一つの流れ星
その星の輝きが涙を止め、私は顔の前で手を組み目をゆっくりと閉じた。
「ヨハンが無事に元の世界に戻ってこられますように」
誰にも聞こえない願いを、小さな流れ星はその願いを運ぶようにまた一つ流れ消えた
「絶対助けに行くからね…!」
目を開くと同時に涙は止まった。
流れ星に誓った、小さくて大きな願い
別の世界にいたとしても、君に届きますように。
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