「やっべぇ遅刻だ遅刻!」
デュエルアカデミアに響く声
辺りに人影は見当たらない
今日は俺にとても大事な日。
なんてったってこのデュエルアカデミアに留学生として入学する大事な日…なのに迷子になっていた
走る足を止めると汗が滴り落ちる
左右見ても自分が何処にいるかわからない
こうなるなら探検と言わず他の留学生達と一緒にいればよかったと後悔した。
「とりあえず止まってちゃ何も変わんないもんな」
止めた足を再び動かす
学園は見えてる…って言っても上の大きな屋根らへんだけ。
でもどの道が何処に繋がってるのかなんてわからない
ようやく林を抜けて道とらしき道に出ることが出来た。
「もう式始まってるよな…初日早々怒られるなんてついてないぜ」
苦笑いしながらまた足を止める
「誰か人さえいてくれれば…」
大きく溜息をつく
するとちらりと視界に入った人影のような…
顔を上げると少し離れた場所に学園の生徒らしき人がいるのを発見した
「よかった…これで助かる!」
歩き回って疲れてる足を必死に動かし走る
視線の先にいるその人へと手を振りながら呼び止めた
「ねぇそこのキミ!」
声に反応し、その人が振り返る。
ここに来て初めて出会った生徒
驚いた顔で俺を見るが、すぐに柔らかく微笑んだ
「あなた…今日入学するって言ってた留学生の一人だよね?」
「あぁ、ヨハン・アンデルセン。よろしくな!ところで今日遅刻ってか、今現在遅刻中で道に迷ってたんだ。もしよければ学園まで連れてってくれないか?」
頼むと、顔の前で手を合わせ頭を下げる
くすりと笑う声が聞こえ、片目を開け見てみると何が可笑しいのかわからないが彼女は笑っていた。
一瞬胸が大きく揺れた気がする
でも俺はまだ気づかない。
「いいよ。私も探してたし」
「?あぁ、ありがと」
「さ、こっちだよヨハン・アンデルセン君」
さっきのは気のせいじゃなかった
にこりと笑った彼女に俺の鼓動がだんだん高鳴るのが分かる。
それから暫く歩くと本来いるべき場所にたどり着いた。
体育館に入り、鮫島校長先生のところまで走って行く
いつの間にか隣にいたはずの彼女がいない事に気がついた
鮫島校長が説明をしている最中でも生徒達の中にいないかと探した。
だけど彼女の姿は何処にも見当たらない。
覚えてるのは彼女の笑った顔だけ…
(そうだ名前聞くの忘れてた…!)
笑顔の素敵な君に恋をした
名前も知らない君に声をかけらのれたのは次の日の事だった。
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