GX 短編 | ナノ



俺はお前の気持ちを知ってる。
だけど、お前は俺の気持ち…知らないよな

俺とさちはここ、デュエルアカデミアに来る前からの知り合い。
そしてただ一人、俺が好きになった女
今まで異性を相手にしても何の感情も持たなかった、けどさちだけは違った
だからこの気持ちに気づくのも遅かった。

ここに来て数日たったある日、俺はさちに呼ばれ部屋まで行った
初めてじゃない、何度か呼ばれて来た事はあった。
でも呼ばれる度に「もしかして」と思ってしまう自分がいた…期待してしまった。
だけどそんな事もなく、ただいつも普通に接してくれるだけ。

周りの友達に比べたらきっと仲が良いんだと思う。けどそれ以上でも以下でもなかった。

部屋の前まで着くと、待ってましたというようにタイミング良くドアを開け中に入れてくれる
俺は男で、お前は女。なのに簡単に部屋に入れちまうなんて…異性として見られてない、なんて…な。
そんな事を考えながら部屋へと入って行く。

部屋にあるソファーに腰かけると、その横にさちが座る
よく見ると目を泳がせ少し顔が赤い気がした

「なんだよ話って」
「あ…うん。あのね、その」

少しずつゆっくりと話始めた
それを一言、また一言と聞くたびに胸が苦しかった
出来る事ならもう何も聞きたくないし、この場からいなくなりたかった

俺は初めて知った。俺とお前の気持ちを。すれ違った想いを。

「私今までこんな事経験ないし…男の子で一番仲良いのヨハンだけだから…」
「あぁ、いいぜ。協力してやるよ!」
「有難う!」

笑った顔が見れるならと嘘で作ってしまった笑顔
思った事とは違う事を言ってしまう口。
こんな事をしてプラスになるわけじゃない、それでも相手がさちだからっていう理由でNOとは言えなかった。

心臓が握りつぶされるほど心が痛く苦しかった。

さちはデュエルアカデミアにずっといて今回初めて気になった人がいたらしい。
それが俺にとってさちの次に仲の良い、十代だったなんてな。

初恋は実らない…ってヤツ。

「さちがそう言うなら…しかたないよな」

思わず本音が口に出てしまった
気づいた時にはもう遅く、さちが俺を見て首をかしげた

「どうしたの?」

心配そうに俺を見つめる

悔しい悲しい苦しい

好き

そんな言葉、伝えていいのかわからない。
でもこのままにしてたら俺がどうにかなっちまいそうだ…

今こんな事言ったら壊したくない関係も壊れるかもしれない、でも。
想ったままじゃ俺自身が壊れそうだ…なら、せめて気持ちだけでも伝えたい

困らせたとしても…叶わなかったとしても。

「…なぁさち、好きって言ったら怒るか?」




back



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -