子供たちの未来
本日は任務・・
初めて、日向君と同じ任務に出ることになった
内容はいたってシンプル
脱走した中等部の女子生徒を学園へ連れ帰ること
先日行われた、前期試験で惜しくも2位だったらしい
その、女子生徒は成績優秀で真面目な大人しい人
ただ、不幸なことは彼女よりも成績優秀な学生が同じ学年にいたこと
アリス学園では優等生賞をとらなければ里帰りする権利を得ることはできない
しかし、優等生賞は、定期テストごとにクラスで1人しか選ばれない
アリス学園の生徒は少人数で幼等部は1クラス、初等部、中等部、高等部のそれぞれを前後半に分けた2クラスずつの計7クラスしかない
・・せめて、学年さえ違えばチャンスはあったのかもしれない
しかし、同じ学年となると優等生賞をとれる可能性は限りなく少ない、と踏んでの脱走だろう
私は、複雑な気持ちを抱えたまま、探し人を発見するグラススコープのアリス"を使う
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学園の周囲は中等部校長の強力な結界が張り巡らされている
あの結界を、真正面から飛び出した女子生徒が無傷のはずがない
そんなこと、考えれば子供にだって分かること
それなのに、捜索グループの中に治癒のアリスが使える生徒が1人も含まれていない
それどころか、日向君同様、相手を威嚇又は攻撃する性質のアリスを持つ者が3人
うち1人は、呪いのアリス、翼先輩の左頬に罰則印を設けた周瑠衣
学園の裏側を見せられているようで、不快な気分に・・
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グラススコープを通して、女子生徒を発見する
予想通り、ぼろぼろの体を引きずって・・
向かう先は間違いなく、学園から聞かされていた彼女の実家の方角
両親との再会にむせび泣く年上の先輩、互いにしっかりと抱き合って会えなかった時間分を取り戻そうとするように
「こんなことをして、馬鹿だね
本当に会えると思っていたのかい
お前がこんなことをしたばかりに、お前の家族にも学園から罰が下ることになることぐらい、賢いお前なら考えなかったわけではないだろう?」
神経に障る・・人の心をジリジリと蝕むように話すペルソナ
まるで、自分に対しても刃が向けられているような気分になって、思わず俯く
近くに誰かがやってきた気配を感じた
そっと、頭に乗った重みにゆっくりと顔を上げる
赤い瞳がしっかりと女子生徒が両親に別れを告げる姿を見つめている
別れを告げる女子生徒の顔に後悔の色はない
どうして、彼女も彼もこんなに強いのだろう
日向君、あなただって、愛しい家族から引き離されて、学園という名の檻に囚われている身だというのに・・
アリスという名のアイデンティティを守るため、捨てなくてはならないものは子供たちにはあまりにも大きすぎるような気がしてならない・・
それでも学園の子供たちは、孤立した空間の中、2本の足でしっかり立つ
未来を信じて、自ら切り開くために
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[mokuji]
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