ゆめ
「浅はかな」
※止水さん
※滅仏道中記とか(笑)
※ジズ「洒落になりませんけど!(汗)」
しゃらん。遊環が揺れて辺りに鈴のような音を響かせる。あちらもこちらも四方八方、妖怪や霊だらけ。この現世は一体どうした事でしょう。目を閉じていても瞼は透け、鮮明に外の様子が見える。呆れるような光景に小坊主殿の愚痴に近い呟きが脳内で再生された。
『正直、神々だけでも大変なのに人間は自分たちで殺しあうのだから、尚更面倒なのですよ』
確かに、これでは小坊主殿一人でどうにか出来るわけがない。あの方も神とは言え体は一つしか無いのだから。懐から札を、袂から筆を取り出し、札にさらさらと呪を綴る。3枚ほどは妖怪を滅する呪。5枚ほどは霊を成仏させる呪。これらの札を地に置き、錫杖で札の中心を突き刺して、今度は口で呪を唱える。すると錫杖からするりと抜けた札はそれぞれの妖怪や霊の額や背中にくっつき、見る間に妖怪を滅し、霊を成仏させた。
「これで少しはマシになりましたかね」
さて次へ、と歩を進めようとしたが大きな何かを感じて振り返る。真後ろには今まで何故気付かなかったのかと己に問いただしたくなる程、禍々しい力を放つ古びた屋敷があった。意識を集中させればいくつかの魂が囚われているように見える。
「…これは放っておけませんね」
ジズ様の危機。
prev / next