裏道 | ナノ


ご愁傷様





「毎度ご贔屓に」





とある人のお葬式でござい。





ロクでもねぇな。














「さよなうら」とか「安らかにね」とか。

そんな言葉にどれほどの価値があるのだろう。



「もっとも、俺は興味ないけどな」



今日のバイトは葬式を手伝う感じの仕事。

会場手配したりセッティング(?)したり運んだり。

この日は丁度一件の依頼が入っていた。



「あつー…」



ミーンミン。

蝉がうるさい。

たかが1週間、されど一週間。

人間でいう70年近くの人生が、奴らにとってはたったの1週間で終わる。

虫だからか、はたまたただうるさいからなのか。

人はそんな奴らの死体には見向きもしない。

ついさっき目に入った蝉を手早く土に埋めてちょっとだけ合掌。

すぐに立ち上がって作業に戻った。



「この度はご愁傷様です」



礼。

白い花に囲まれた写真。

ホールにはまばらな人。

よくよく見ると見知った顔が多々ある。

はて、そういえば今日の葬式は誰が死んだんだっけ?

ふと気になった。

後ろを振り向いて写真をまじまじと見つめる。



「俺」



確かに、俺は茶髪だし写真も茶髪、髪型だって違わず俺。

はて?何で俺の写真があんなところに。

俺はここに居るのに。あの写真は何故?



「あれ?」



思い出せない。

何故俺の写真が葬式で出されてんだ。

わけが分からない。

頭の周りが?乱舞してる時に一人の子供が近づいてきた。

よく知った神様だ。



「ご愁傷様でした」

「神様、何で俺に言うの?」

「何で、ってお前の弟が死んだからだろうが」

「弟?」



はて?

いたっけ、俺に弟なんて。



「…?」

「お前忘れたのかよ」

「忘れたもなにも、俺に弟はいないでしょ」

「いるって」



写真を指差す神様。

はて?



「さっぱり思い出せない」

「…そうか」



悲しそうな顔をしてみんなの方へ歩いてった神様。

…あ、思い出した。

今日はAKの葬式だった。

何で兄じゃないんだろう。

KKは俺なのに。



「不思議なこって」

















KKさんが死んでてAKさんがKKさんに成り代わってる話。重要なのは他の誰もそれを知らないと言う事。知ってるのはヘルクリーンの人と極僅かな裏の人。あと世界さん。神様は知りません。裏は知ってるけど。KKさんは死んじゃったんだけどAKさんが何か虚しくてうーん、てなってちょっとKKさんの真似をしたら心が少し落ち着いたから、じゃあKKになれば落ち着いてられんじゃね?ってなってこうなった。若干脳内がパーンしてるAKさんかな。シリアスじゃなくね?


つまりうちの双子の本質はそんな感じなんです。 片方がダメになるともう片方も侵食されてお互い腐っていく。


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