裏道 | ナノ


位置

 


KKが記憶喪失になって一ヶ月が経った。

相変わらず記憶が戻る様子は無くて、普通の人みたいに笑ってる事が多くなった。

弟の笑顔には違和感がありすぎて見てられない俺は兄失格?

まぁ、仕事を疎かにするわけにはいかないし、俺が仕事の日は六にKKを見てもらってた。

流石に一ヶ月となるとKKの噂は流れに流れて、怪我したとか死んだとか誰かが殺したんじゃとか色んな説が出てた。

一番笑ったのは裏世界から足洗った、って噂。

もし噂をKKが聞いてたらキレるよなー。

「誰がこの世界から消えたって?」

ってさ。

そんな感じでようやく退院する日。

さて、俺はどうやって生きていこうか。



「退院おめっとさん!」

「本当によく生きてたな」

「おめでとさん」

「え、あ、ありがとう」



病院の人たちに見送られて一先ずMZDの屋敷に。

屋敷に着いてからの一言目は祝いの言葉。

六のは祝いなのか分かんないけどさ。

少し戸惑ったかと思えば、KKは笑って礼を言った。

やっぱり、あの笑顔だけは見たくなかった。

いや、見てられなかった。

認めたくないけど、やっぱり弟なわけで。

別人みたいになっても弟なので。

何かここに居たくなかった俺はとっとと仕事に行く事にした。



「まー、無事退院した事だし俺は仕事に行ってくるー」

「弟ほっといてか?」

「神様と六が守ってくれんなら心配ないでしょー」

「…AK、せめて顔くらいは見に毎日来い」

「えっ、毎日とか辛くないそれ」

「辛い?」

「あ、いや、まぁ、その時間的な意味で」

「…なら来れる時はなるべく来い」

「あーうん、来れる時はね」



つい本音がポロッと出ちゃったけど、まぁ誤魔化せてたらいいな。

誤魔化せてなさそうだけど。

そんな事より早く家に帰ろう。

そんで仕事詰め込んでもらおう。

暫くはここに来なくてもいいように。

何がそうさせるのかは分からないが、ただ今のKKを見たくなかった。

ホントに何でだろ。

家に帰るまでの間にめんどくさくなって考えるのはやめた。










「あー…だるー…」



今日の分の仕事をやっと終えた。

確かに仕事を詰め込んでくれとは言ったが如何せん多すぎる。

つーか何で表にまで顔出さなきゃならないんだか。

ぶちぶち文句を言いながら、重い屍を片す。

そういや、今日の飯どうしよう。



「食わなきゃいっかー」



一日や二日、食わなかっただけで死ぬ事はないだろう。

自分にしては珍しい思い付きだ。

そんなに深く考えず、家に帰った。





 ― 一週間後





「頭いてー…」



ガンガンと頭をバッドで殴られているような感覚。

ぐらぐらと揺れている視界に、少し体がフラつく。

ちゃんと飯を食べなかったせいか、風邪を引いたらしい。

ここ最近、急激に戦闘が多くなってコンビニの弁当さえもろくに食べられない日が続いていた。

それでも仕事はKKがいない分、俺に回ってくるから休みがない。

そんな訳でフラフラしながら仕事に向かい中。

KKが入院した事を神と六に話した時、俺たちは揃って「ワーカーホリック」と言ったが、俺もその部類だったらしい。

少しくらい仕事を休んだって金はあるからいいけど、信頼ってものがザックリとなくなってしまう。

そんな事になって仕事が減ったんじゃ、KKにどやされるからな。



「KKは怒りっぽいしなー…あー頭いてー」



多分自分が怒らせすぎてるだけなんだろうけど。

そんなことはともかく、そろそろターゲットが現れる時間だ。

おぼつかない手つきで武器である銀食器を握りしめた。



ら。



鋭い何かが体を貫通していくのを感じた。

一瞬何があったか分からなかったけど明らかに撃たれた。

予想もしなかった銃弾がどこから飛んできたのかは体に開いた穴が教えてくれる。

どうやらモロバレ、ってやつだったっぽい。



「あーらら…こーりゃピンチってやつぅ?」



暢気に言ってみるがそんなことで事態がどうにかなるわけじゃなし。

一旦止血のためにも建物の影に隠れるなり何なりすることにした。

やべー、これ血ぃ足りんの?って位にはだらだらと血液が流れ出ている傷口を手で押さえながら、足早に建物の中へと入り込む。



「いてー…ったく、何、してくれんだか…」











今やAKのキャラ全然違うので続き描けなくなりました!残念!!

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