一狩りされた
※ノアと双子の片割れ
「…で、お前何もんだ?」
「何って、ただのおじさん」
「ただのおじさんがんな危ねーもん持ってるかよ」
危ないもの、と言われてもこれはただの針金でしかない。
何か細工がしてある訳ではないし、そもそもこの針金で人は殺せない。
「そうかな、これは人を殺す用のものじゃないんだけど」
「は?それだけじゃねぇのかよ」
「うん、そうだね」
不思議そうな顔をする掃除屋に、ぱっとコートを広げてみせた。
ちゃんと色んな状況に応じて使えるように、武器として使っている針金はかなりの数を仕込んでいる。
このコートの中だけじゃなくて、服の袖とか、胸ポケットのボールペンの中とか。
「…んだ、その針金の数…」
「全部、仕事用だよ」
沢山ある針金の中から殺傷能力が一番高いものに持ち替える。
先端には軽く毒が仕込んであるもので、大体はこれで殺せてしまう針金。
「やる気か?」
「君がやる気ならね」
「…俺はもう仕事終わったし逃げさせてもらうぜ」
「おや、残念」
一人くらい仕留めとかないと、お金もらえないのに。
まぁ、いいか。
よく考えたらさっき、似たような掃除屋さんを仕留めたから。
アークに怒られないで済みそうだ。
既にAKさん狩られてた罠。
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