裏道 | ナノ


錯の話

 


以下を前提とする
!竺と錯は現在(※1)から数百年前の人物
!死者は自分の死因を覚えていない
!世界は天上・天下・地上・地下の四層(※2)に分かれる
!竺は天下、錯は地下が所在


!基本的に会話だけで描写は申し訳程度←
めんどくさいからとかじゃないよ!←


※1:中心となる時間軸は存在しないので適当に考える事←
※2:いわゆる極楽・現世・地獄というもの
ただし四層なので神域・極楽・現世・地獄となる
神域には黙憐の住居がある








目が覚めた。

今日もどこかで叫び声が聞こえる。

ここは地下。

所謂、地獄という場所。

地下には光というものが一切存在しない。

故に手探りで進んだ先が針山、なんて事も多々あったりする。

それに光が無い為に時間経過も一切分からない。

そんな闇の世界に一つの光が見えた。





「…俺を、出すと?」



驚いた。

ここにどれだけ居たのか分からないが、まさか俺をここから出そうなどと。

黒と水色の神は驚く俺を見て少し笑っていた。



「そうだ、お前とお前の兄を地上に連れてく」

「何故、今更」

「それもそうだ、が、俺にはその理由は分からない」

「神が俺を出すと言ったのだろう」

「俺は『その神』の代理でな。本人は家で仕事に追われてる」



本当に俺をここから出す気なのだろうか。

仮にも地獄の住人であるというのに。

だが、兄も一緒に連れて行くと言う。

この神は何を考えているのか分からない。



「…嘘では、ないのか」

「事実だ。ただし、少し制約を設けさせてもらう事が出る為の条件でな」

「…出られるのであれば、構わない」

「なら、まず一つ目、手枷だ」

「手枷?」

「仮にも地下の住人だから、という簡単な理由だ」

「そうか」

「まぁ、はっきり言えばお前が暴走した時の為のものなんだが」

「暴走…か、まるで俺に何か力があるように言うのだな」

「あるんだよ、お前に力ってもんが」

「何?」

「まぁそれがどれ程のもんか、把握は出来てないから、手枷なんだ」

「…なるほど、もしその手枷を外した場合は?」

「強制的に地獄へ連れ戻されるようになっている」

「外したり、壊したりしなければいいんだな」

「そうだ。それ以外は基本的に不問にする」

「分かった」

「二つ目、目隠しだ」

「目隠し?」

「しないと、ここから出た時に目が使いもんにならなくなるぞ」

「確かに、これだけ暗闇の中にいれば当然だ」

「ちなみに目隠しも、外す事は許さない」

「…それは何故だ?」

「外しても外さなくても無意味だからさ」

「そう言い切る根拠は」

「力のせいで目が良くなりすぎてるから、目隠ししてても大体布は透けて見える」

「それだけ、か?」

「あと、その目を生者が見ると、一発で魂が体の外へ引っ張られるみたいでな」

「いつの間にそんな力を俺は持ったんだ」

「さぁな、ここに居てお前の中の特殊な潜在能力が出たんだろう」

「…そんなものが、俺の中にあるとは思えんが」

「まぁ、それに関してはお前の兄に聞いてくれ」

「制約は、二つだけか?」

「あぁ。目隠し及び手枷を破壊、取り外す、などをしなければ問題ない」

「意外と緩いな」

「もう外じゃ数百年は経ってる、少しは楽しめって神様のお達しだ」

「霊が何を楽しむというのやら」

「忘れたのか?この世界は音楽の世界だぞ」

「…そういえば、時々地上から音が降ってくる事があったな」

「丁度神様がパーティーでもしてたんだろう…っと、そろそろ行くぞ」

「このままでいいのか?」

「ここから出た瞬間から自動的に制約が実行される」




「まずは神様の家に行くからな」









数百年経ったと言う世界は、とても眩しかった。











そんな感じで錯さんは地下から出てきました



「もし一回手枷を破壊して、連れ戻されたらもう二度と出てこれないのか?」

「俺が手続きすりゃ出てこれるけど、結構かかるぜ」







何で錯さんが地下に居たのかはまた別の話

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