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殺意と破壊の違い

 


「またやったのか」

「あぁ、仕方ない。これはもうどうにもならねぇ」

「そんなもん殺して何が楽しいんだか」

「殺す?違うな。俺は壊してんだ」

「壊す、ね…」



神の気まぐれで『壊された』ものを見下し呟く。

と、普段なら俺が出ていく時しか動かない扉が開いた。

影は神サマの後ろで揺れているし、唯一の住人である俺と神サマはここにいるからだ。

このタイミングで来るとは哀れだ、と思いつつ扉の方を睨む。

扉の影から出てきたのは見慣れた髭だった。



「ハーイ黒神サマと神サマ」

「…かなり空気を読まずに来たな」

「黒、そういうのをKYって言うんだ」

「そうか、じゃあMr.KYか」

「会って早々やめてくれる…」

「そういや何か用か?髭」

「また髭って…」

「もう髭でいいだろ髭で」

「神サマと黒神サマが良くても俺が嫌だからホントに止めて」

「神サマ、この言い合う時間が勿体ねぇ」

「それもそうだ」

「何で二人とも俺にだけ手厳しいの…」



部屋の隅でうずくまって「の」の字を書くKK。

少々うざったいと思いつつ声をかける。

只でさえ重く湿った空気なのにこれ以上悪化されると俺がイライラするからだ。



「で、お前何しに来た」

「そうそう、ちょっとした用事だったんだけど話聞いてたらそっちが気になって忘れ」

「じゃあ帰れ」

「酷い!」



ふと、KKのテンションが変わってない事に気付いた。

普通なら顔を青ざめでもするだろうに、そんな様子は一切見られない。

ならば答えは一つだ。



「…お前慣れてんだな」

「あー…まぁ仕事だし」

「確か清掃業とかじゃなかったかお前」

「そのまま表と裏の清掃業だけど」

「裏稼業ね…スナイパーって所か?」

「正解。何で分かっ」

「勘」

「…まぁ、そういう事にしとこうかね」

「…で、何が気になるって?」

「神サマが人を『殺す』んじゃなくて『壊す』って所」

「あぁ…」

「で、神サマは実際どうなの」

「何がだ」

「殺意とかってないの?」

「ねぇな」

「1mmも?」

「ない」

「何せ神サマの殺意は俺の中だからな」

「…あー、何か感情あげちゃった的な?」

「そうそう、あげちゃった☆的な」

「ノリ軽っ」

「神サマだから仕方ない」

「それもそうか」

「ま、その事もあって黒は殺意2倍だけどな」

「うわ、怖」

「何なら本気で殺意向けてやろうか」

「遠慮しまーす」

「…髭、知りたい事は解決できたか?」

「もう諦めるわ。簡単に言うと神サマに一切の殺意は無いと」

「無いね」

「無い。純粋に玩具を壊す子供みたいな感情しかねぇ」

「反対に黒は神サマの分で殺意2倍だから恐ろしいと」

「て言うか殺意向けたら跡形も残さねぇよ」

「ふーん…でも黒神サマが殺意を向けるとこって見た事ない」

「黒は人間に興味を持つ事は基本的にねぇからな」

「じゃあ俺の事も無関心なんだ」

「多少なり興味は持ってる」

「え、マジで?ラッキー」

「吉と出るか、凶と出るか」

「って言えば大体凶だろうな」

「それはヤダ」

「とりあえず分かったろ。神サマの殺意と破壊の違い」

「…分かりました」

「じゃ、帰れ」

「えー今日泊めてよ神サマー」

「却下」

「今日は無理だな」

「何で?」

「今のでかなり破壊心擽られただろ、神サマ?」

「お前、今日泊まって二度と目が覚めなくてもいいんなら泊まってもいいぞ」

「…今日は遠慮するからまた今度!」

「運が良ければな」

「今度は空気読めよ髭」

「…じゃ、俺は帰る」

「「さっさと帰れ」」

「2人して酷い……けどなー」

「神サマうずうずしてっからさっさと出てった方が身の為だぞ」

「何か気になった所は根本的に解けてない気が」

「…そうか?」

「ま、いっか…命だけは惜しいし」

「流石人間。どこまでも生に執着する根性は忘れねぇんだな」

「俺としては生に執着の無い黒神サマにびっくりなんだけどね」

「あぁ?神サマだってんなもん持っちゃいねぇよ」

「え、マジ?」

「今は、な」

「…今は、ねぇ?」



「つーかテメェは帰らねぇのか」

「おっと、命あっての物種、じゃーなー」






「何か軽く嵐的なものが去った感じだな、神サマ?」

「ちょっとだけその嵐の目を摘んでみたかったけどな」

「またいつか摘みゃいいじゃねーか」

「それもそうだ」




「さて、片付けて寝るか」

「おぉ」









殺意と破壊の違い
(今の状態で六にガチバトル挑)
(軽く地球の半分がぶっ飛びそうなんだが)
(どうにかなるだろ)
(ならねーよ)





――――――――――――
前のサイトの頃の神'sでした。
この時の黒神はひねくれのひねくれモノで
現サイトの裏神みたいな奴でした…ふふふ←
今の黒との違いは存在の出来方にあります
簡単に言っちゃうと

この黒→MZDの負の感情と少しの正の感情を死後のまっさらな魂に詰め込まれたもの
今の黒→元は世界が作った予備のMZDの器でMZDの感情でもあるもの

この黒サマのほうが若干分かりやす…いのか?
まぁ性格は白と裏以上に悪かったですが←

このままお蔵入りさせといても勿体無いし
だからって書き直すのも無理なので
そのまんまで出してみる事にしました

KKが裏の神を知ってるのは今も前も変わらないと言う


長々失礼しました。

ここまで見て下さり大変有難う御座いました!


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