「こんな時に訊くのもあれだが」

「なぁに?」

「…オレでいいのかぁ?」


ブフゥッ!真剣な顔で言われた台詞に思わず吹き出した。そのまま盛大にけらけら笑い出す。スクアーロは眉間に皺を寄せて唇を『へ』の字に押し曲げた。だってだって!これはスクアーロが悪いよ!ほんと訊くのはあれだわ。結婚式前に訊くことじゃないもの。見てよほら私ウェディングドレスだし。スクアーロは素敵なタキシードじゃない。純白なだけで綺麗に見えるわね。それに純白にスクアーロの真っ赤な顔が映えて可愛いし。ショートケーキみたい。私がいつまでも笑ってるのが流石に恥ずかしかったらしい、肩をぽんと叩かれた。


「あんまり笑うと口紅落ちんぞぉ」

「笑かせてんのは誰よ」

「…あのなぁ、オレは真剣に」

「不安?」


首を傾げてスクアーロを見上げる。きりりと鋭い三白眼が困ったように細くなった。変なの。スクアーロらしくもない。私は手を伸ばしてスクアーロを抱き締めた。身長差があるから首にぶら下がるみたいになっちゃうけどご愛嬌で。スクアーロのさらさらした銀色の髪が頬や首筋を撫でてくすぐったい。スクアーロのにおいがする。あったかい。何を不安に思うことがあるの。私なんてマリッジブルーの意味が解らないわ。ほんと変なの。スクアーロらしく強引にいけよ!プロポーズもスクアーロからでしょう。変なの。でもうふふ、なんか可笑しい。


「私は幸せだけど。スクアーロは違う?」

「いや、そんなことはねぇ」

「ならいいじゃない」

「…ti amo」

「知ってる」


ヴェールを指先で払ってキスを落とす。ほらね、こんなにいとおしい。










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