「……ごめんね」
「気にすんなっての」

その日、私は本当についてなかった。日曜日。銀時の誕生日の前日だ。誕生日は万事屋に二人きりの予定で、私は日曜日にケーキを作ったりプレゼントを買ったりだの忙しかった。のだが、プレゼントを買いに行けば急な雨に見舞われびしょ濡れになりプレゼントも買えず終い。ケーキもスポンジを焦がしたりと色々…。

あげくのはてに誕生日当日は風邪をひくというなんという間抜けな結末なんだろうか。

「ほんとに、ごめん。銀時…」

何度目かわからない謝罪。銀時は小さく息を吐いて私の頭をわしゃわしゃと撫でた。

「いーってば」

銀時の笑顔が優しくて、胸がいっぱいになって視界が滲む。

「おまっ、何泣いて…」
「うう…だって、」

あわてふためく銀時。だけど私は情けなさと申し訳なさで涙が止まらない。ついでに咳も止まらない。ああもう最悪だ。銀時が私の背中を擦る。

「私、けほっ…こんなんじゃ、彼女失格…」
「馬鹿なこと言わねーの」

銀時が私を抱き締めて子供をあやすみたいに、背中をぽんぽんと叩いた。

「銀さんはお前と一緒にいれたらそれで良いよ。」

気持ちだけで充分。耳元で聞こえる大好きな低音にすっと気持ちが軽くなる。

「あーでもやっぱ甘いもんは食べてーからまた作ってくれよ?」
「ん…ありがとね」


せかいでいちばん
いとしいあなたへ




優しい坂田に会いたかっただけ。←
おめでとう坂田! 20111010




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