「最近は映画の見すぎで奇跡も珍しくなくなったね」
「は?なに?」
「心にも無い事でもすらすら、言える様になったよ」

頭にハテナマークをいくつも浮かべる目の前の人物、クラスメート1の坂田銀時。私は気にもせず窓の外に目をやった。手は、ねるねるねるねを回すのを欠かさない。

ちなみに今の私のセリフは某バンド、強がりな弱虫さんのある曲の歌詞。超いい曲。

ずっと悩んでる様子だった坂田くんは、私の言葉の意味を理解したようだ。

「わかった!テメェさっきのあれだろ!俺がさっきこのシュークリームに出会えた事は奇跡だって言ったからだろ!」
「ご名答。」

もそもそとシュークリームを頬張る坂田の顔。超ウケるんですけどー!

「シュークリームに出会えた事が奇跡ならこの世は奇跡だらけじゃねーか」

私がねり終わったねるねるねるねを口に運ぶと同時にクラスメート2の高杉晋助が現れた。

「だよね。わかってるわー高杉くん、わかってるわー」
「ざけんな!てめーらこのシュークリームの良さを知らねーだろ!」
「全部一緒だろ馬鹿が。つーか明テメェねるねる臭ェ」
「良い匂いだよ!ソーダ味だよ!?」

そうこうしてる内に無くなってしまうねるねるねるね。畜生。美味しかった分、切ないぜ…。

「坂田ァ、これ捨てて来て」
「やだ」
「んじゃ高す」
「死ね」
「おかしい!おかしいよ高杉君!」

ちぇっと、これみよがしに舌打ちをしてから、ごみ箱にねるねるねるねの残骸を捨てに行く。

さらば、ねるねるねるね。君の味は忘れない…!


ぽすっ


「さーて、次の授業の用意しなきゃなー」
「捨てる前と後の温度差激しすぎんだろ」




       前