秋桜
この頃はどうも眠気が褪めずいる
きっと貴方の夢をみるまで
大好きな貴方の腕に爪たてる
もう一味を刻み込むため
永久に叶えられない恋ならば
見つめるだけでごまかせばいい
かたつむり踏まれてもなお命あり
脱ぎ捨てたのは割れたぬけがら
五月雨に震える君の黒い傘
すべてを捨てて飛び込めたなら
いつの間に髪がのびたと言われた日
迷子の私を呼ぶ声がする
「好きだよ」と流れる涙は美しい
頬を照らした夕暮れの君
今は亡き都の痕に君を見る
哀しくはない今日は寒いね
秋桜の散るを見る間もないままに
ここへ来たのと笑い泣く妻
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