指切りしよう。




チャラ男会計×生徒会長


「つぎ、いつ会える」
「んーそうだなあ、最近生徒会の仕事も落ち着いてるよね。来週の土日だったらずっと一緒にいられるよ?」
「……ほんとうか?」
「ホントだよ」

しょんぼりとした顔の会長の頭を撫でてやれば、チラリと上目遣いが窺うように向けられた。
あ、信じてないなと笑顔の裏で考える。

君は目に見える確かな物しか信じようとしないね。

たぶんそれは、生徒会長という学校の代表の立場である事や、大きな企業の跡継ぎである事も関係しているのだろう。
その肩書きのお陰で、何人の人に裏切られたのか。妬まれたのか。
そして好意の裏に隠れた感情も。
きっと俺には計り知れないし考えもつかない所に立っていたはずだ。いや、今も立っている。

だから会長は信じない。
目に見える証しか、信じない。

だがしかし、だ。
彼氏としてはそこまで信用されてないとなると、非常に悲しくてしょうがない。
だって俺たち、付き合ってるんだよ?
そこに信頼がなかったら、どこに気持ちがあるというのだ。
信頼がなかったら、ただの片想いでしかない。

目の前の細い腰に腕を回して抱き寄せる。
それすらもぎこちなく、おどおどとした様子で胸にもたれ掛かってきた会長をぎゅっと抱き締めた。

「会長、まだ信じられない?」

耳元で囁けば、ぴくりと体が震えた。
あーやっぱりダメかあ。

確かに俺にも悪い所はある。多々。
会長と付き合う前は下半身人間だとか、精魔神だとか言われて副会長に怒られたものだ。
否定はできない。親衛隊を取っ替え引っ替え食っていたのは事実で、消せない事だ。

それが会長を不安にさせているのもわかってる。だから親衛隊と会うのだって止めた。
というか、はっきり言って、勃たなくなった。
会長の事しか考えられないよ、俺。
それだけ好きで、けれどこの気持ちは会長には届かない。

「好きだよ会長」
「……悪い」

気まずそうに言う会長から体を離し、しっかりと見据える。
すると、会長も頑張って目を合わせてくれる。
俺にはそれだけで充分だった。

「会長、指切り、しようか」
「指切り?」

目に見えないものしか信じない君のために、
形で見える約束をしよう。

「俺はさ、すぐじゃなくていいの。会長が俺を信じられるまで、ずっと一緒にいるからね」

そうして、一緒にゆっくり進んでいこう?
笑いかければ、会長がへにゃりと笑った。

「ありがとう」

そう言ってお互い小指を絡めた。
会長とだったら、なんでもできそうだ。

 * * *
いま製作してる20万打企画の没です。
没の所に入れようと思ったのですが、完結しててもったいないのでこっちに上げました。

2012,0918.

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